最近の気になる話題から

凍菜協の活動をご紹介いただいた松永和紀科学ライターの中国食品安全に関する記事

虫の混入防止対策について

農薬の適性使用基準を遵守し、残留農薬が基準値を越えないよう管理しています

害虫の発生状況についてモニタリング(監視)します

フェロモントラップ
フェロモントラップ
ここで使用しているフェロモンは主に性誘引フェロモンと呼ばれるもので、雌が遠距離から雄を呼び集めるために放出する匂い物質を化学的に合成したものです。誘引された害虫の雄成虫を捕らえ、その数を一定期間ごとに計数し、発生の時期を知ることで、殺虫剤の選定や散布時期の決定などを判断する目安にすることができます。

薬剤(農薬)は厳重に管理します

施錠できる農薬保管庫
施錠できる農薬保管庫
持ち出し記録も残します
持ち出し記録も残します

農薬は施錠できる保管庫で管理されます。 当然のことながら、持ち出せる人も制限され、持ち出しについての記録も取り、不正に使用されることが無いように厳重に管理されています。

使用器具も管理します

噴霧器
噴霧器
備品類
備品類(はかり、計量カップ等)

噴霧器を始めとする器具もきちんと管理する必要があります。 また、残留基準を遵守するためには、農薬は正確に希釈し、正しい濃度で使う必要があります。

野菜は加工時に様々な手法を何段階にもわたり洗浄を行い、付着したゴミ(異物)、虫などを取り除きます。

 
溜めた水での手洗浄(ホウレンソウ)溜めた水での手洗浄(ホウレンソウ)
バブリング(泡)での自動洗浄(ホウレンソウ) バブリング(泡)での自動洗浄(ホウレンソウ)
流水での手洗浄(ホウレンソウ) 流水での手洗浄(ホウレンソウ)
バブリング(泡)での自動洗浄(枝豆) バブリング(泡)での自動洗浄(枝豆)

厳しい日本の要求品質を守るため、最後は野菜の一つ一つに対して、目視による検品を行い、変色したもの、異物、虫などの除去作業を行います。このような詳細な検品を日本国内ですることはコストの面からも不可能です。

ブロッコリーの検品
ブロッコリーの検品
ムキ枝豆の検品
ムキ枝豆の検品

透過光を使った絹さやの検品
透過光を使った絹さやの検品

更に、野菜の内部に入り込んだ虫についても除去するため、透過光を使った検品を行う場合もあります。
しかしながら、野菜の内部に入り込んだ虫については、このような検査をもっても完全に除去することは困難な場合があります。

検品では防ぐことが難しい虫の混入について

透過光を使った枝豆の検品
実際の枝豆

透過光を使った枝豆の検品(透過光による見え方と実際の違い)

左側二つは透過光でも影があり、虫の混入が分かります。
真ん中は透過光では影がありませんが、実際には虫の混入がありました。
右側二つは透過光では少し影があるものの、実際には虫の混入はありません。
このように透過光による選別も、必ずしも万全ではありません。

防虫防除を計画的に行っても、予期せぬ虫の発生や、作物の生長過程の中で、作物の中に卵が産み付けらてしまう場合があります。

我々も最大限の努力をもって様々な洗浄や検品を行っておりますが、このような虫の混入については、完全に除去しきれないケースもあり、まれに製品中に混入してしまうことがあります。

適切に農薬使用を管理しつつ、虫混入を低減化する。 この相反する難しい課題に、今後とも業界全体として、最大限努力して参ります。

■インゲンの中から見つかったメイガの幼虫

インゲンの中から見つかったメイガの幼虫
インゲンの中から見つかったメイガの幼虫
鱗翅目メイガ科の幼虫

■枝豆の中から見つかったメイガの幼虫

枝豆の中から見つかったメイガの幼虫

■野菜の内部に入り込んだあぶら虫

野菜の内部に入り込んだあぶら虫
野菜の内部に入り込んだあぶら虫

中国食品問題の報道について

冷凍ホウレンソウ残留農薬違反

 2002年に中国産冷凍ホウレンソウから相次いで、クロルピリホスが相次いで検出され、大きな社会問題となりました。

 その後、一時的に中国からの冷凍ホウレンソウの輸入がストップしましたが、2004年には本格的に輸入が再開されました。
この間、中国政府は栽培管理体制や工場管理体制について調査・確認し、対象となる輸出業者を厳しく選抜するなど、日中両国間でさまざまな取り組みを進め、2004年12月以降は、残留農薬の違反は大きく改善されています。

うなぎ加工品からマラカイトグリーン検出

 2005年8月に冷凍うなぎ加工品のモニタリング検査で、相次いで合成抗菌剤であるマラカイトグリーンが検出されました。

 その後、中国産うなぎとその加工品については、命令検査となり輸入業者は費用を負担し、公的機関にて検査を実施し、基準値内であるもののみしか輸入できない管理体制となっています。

中国製餃子で食中毒 メタミドホス検出

 2007年12月、千葉県で中国製冷凍餃子を食べた人が嘔吐し、その後他地域でも同様の事例が相次いで発生しました。調査の結果、高濃度の農薬(メタミドホス)が検出されました。日中の捜査当局が混入の原因等について調査していますが、未だ事件の解明はなされていません。

この事件は、農薬が検出されましたが、高濃度の為、残留農薬の問題ではなく、誰かが意図的に混入したと考えられています。

また、この事件以降、「食品テロ」という言葉が語られるようになりました。

メラミンによる粉ミルク汚染事件

2008年9月、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ赤ちゃんに腎臓結石が多発したことで、事件が明るみに出ました。 原因としては、「タンパク質含有量」を偽装する為に、意図的にメラミンという化学物質を混入した事で起こりました。 その後の調べで粉ミルク以外の製品からも有害物質が検出され、被害は拡大しました。汚染ミルクを使用した製品が多くの国へ輸出されていたことから、世界的な問題になりました。

日本国内に中国から輸入された乳製品、菓子、たこ焼等など広範囲にわたる中国製食品からメラミンが検出され、相次いで回収が実施されました。

中国産「冷凍いんげん」で食中毒

2008年10月、中国産「冷凍いんげん」から高濃度の殺虫剤(ジクロルボス)が検出され、喫食された主婦に健康危害が発生しました。検出された殺虫剤の濃度が極めて高いこと(6900ppm)、及び1袋のみの検出であることから考えて、通常の生産過程における残留ではなく、故意の混入の可能性が高いと思われています。

 また、中国の北海食品及び北緑食品(中間原料の生産)は、事件から1年以上経過しましたが、未だ製品の輸入が保留されています。最近になってやっと、北緑食品の原料カボチャだけが解除になりました。